鴨志田穣 死去。

最後のアジアパー伝 文庫版

最後のアジアパー伝 文庫版

カメラマンの鴨志田穣さんが死去

鴨志田穣 Wikipedia


最初に鴨ちゃんを知ったのは西原理恵子との馴れ初めとなった「鳥頭紀行」のブラジル篇がSPAで連載されているときだったかな?タイで出家した日本人で元アル中で、ヘロイン中毒で、どこの国にいっても生水を飲んでもOKな丈夫な身体!

それから彼女らは結婚して、彼女と共著するようになって、彼を詳しく知るようになった。
彼は元々ふらりと東南アジアを放浪してから、戦場カメラマンとなり世界中の紛争地域に出かけ、何度も何度も生命の危機にさらされていた。そして結婚して日本に帰ってきてからはエッセイストとなり、サイバラの挿絵で文章を書いていたのだけど、これがまた彼は非常に文才はなく読むのがつらい!共著した本は全部持っているものの、彼の文章をいまだきちんと読まないでサイバラの漫画ばかり読んでいた。
元々酒が大好きだったようだが、酷いアル中でサイバラと離婚。何度も何度も吐血をして閉鎖病院に入院。

彼の訃報を知ったとき、「あーあ とうとう酒でやっちゃったか」と思ったけれど、腎臓癌。皮肉なものですな。
血を吐いて何度も生死をさまようほど大酒のみ、数々の世界の戦場で銃弾の中をくぐりぬけてきた彼の末路がコレ。

今年の初め、毎日新聞の連載で再び夫婦で暮らしていることを知り、復縁かぁ・・・・とにやにやしていた。
多分、もう彼の死期を知ってせめて残りの時間は子供と一緒に暮らしていたんだね。

オズモールで彼は日記を書いていたらしい。
奥山君の文章は生への執念とニュートラルさで満ち溢れていたけれど、鴨ちゃんは黄昏時の静かな水面みたいだ。
鴨ちゃんは最後まで己の荒々しさと文章にギャップのある人だった。

「カモのがんばらないぞ」

この日記はアルコール中毒から癌を告知されて、死ぬほんの少し前まで綴られている。
最初に比べて大分文章は上手になったけれど、まだまだこれからだったのに。

喪主は別れた奥さんの西原理恵子。度量の大きい彼女は本当にいい女だよね。
鳥頭紀行、しみじみと読むのは西原も鴨ちゃんを喜ばないと思うから、ゲラゲラ笑いながら読み返しておくよ。